Smaart

[Smaart徹底解説-4]マイクとインターフェースの組み合わせ方

sound-star

今回は中級者向けにインターフェースと測定マイクの組み合わせについて解説します。

実はどのような組み合わせでも良いというわけではなく、より本格的に使用するのであれば考慮しておくべきでしょう。

=目次=

1

組み合わせとは?

初めに基本的な音の流れですが、マイクで収音する インターフェースに入るSmaartでデータを可視化するといったようになります。

マイクで収音からインターフェースに入るというこの部分の流れが非常に重量になってきます。

PA・音響の世界で大前提として信号を歪ませてはいけない。(クリップさせない)というのがルールとしてあります。これはライブ、レコーディング、放送の世界では当たり前だと思います。同様にSmaartも同じことが言えます。

クリップさせた情報だとデータの信用性に欠けてしまうということになります。

では具体的にどのような組み合わせなら良いのか。ということですがそれは、

測定マイクの最大入力レベルをインターフェース側が受けきれるか。

ということになります。

これだけだと意味がわからないので次章で詳しく解説していきます。

2

それぞれの組み合わせ方法

測定マイクとインターフェースの組み合わせ方法ですが、使用したい測定マイクかインターフェースがあればそれを主軸にもう一方を選ぶと良いでしょう。

今回はPA業界でよく使われているEarthworksのM30を使いたいマイクとして例に挙げてみます。

ワークフロー

  1. 測定マイクの感度/最大入力レベルを調べる
  2. 測定マイクに最大入力された時の最大出力電圧を調べる
  3. 使用したいインターフェースの最大入力電圧と測定マイクの最大出力電圧がマッチしているか調べる

①測定マイクの感度/最大入力レベルを調べる

初めに測定マイクのスペックを確認します。下記画像がM30のスペックです。

取扱説明書の後ろに載っている部分です、取説好きは初めに見るページですね。

ここで確認してもらいたいのが、Sensitivity(感度)Peak Acoustic Input(最大入力レベル)の2つです。

Sensitivityとはマイクの基準を示すのに一般的には、1kHzのsin波で94dBか1Paの圧力を与えた時の数値になります。

Peak Acoustic Inputはこのマイクが受けられる最大音圧レベルを示します。

Earthworks M30であれば、Sensitivityは34mV/PaPeak Acoustic Inputは140dB SPLになります。

②測定マイクに最大入力された時の最大出力電圧を調べる

SensitivityとPeak Acoustic Inputが分かると最大出力電圧、つまり140dBうけた時の電圧が求められます。どのようにして求められるかというと、下の数式aを使用します。

aの式にスペックに表記してあった、Sensitivityと34(mV/Pa)Peak Acoustic Input140dBSPLを代入します。

基本インターフェースのスペックにはdBuで表記されることが多いので単位をVからdBuに変換します。変換には上の数式のbに先ほど求めたVの値を代入します。

となります。

M30は最大のSPL140dBを入力された時には18.8dBu出力されるので、それが受けられるインターフェースが必要

ということになります。

③測定マイクの感度/最大入力レベルを調べる

続いて、インターフェースを調べていこうと思います。例にAudinetのEVO16を購入検討とします。ここで確認しなければいけないのは、最大入力レベルです。

EVO16の最大入力レベルは、16dBuと表記されています。

Smaart Headroom = (インターフェースの最大入力dBu) ー (M30の最大出力dBu)

つまり、16dBu ー 18.8dBu = -2.2dBuということになり、

先ほどのM30の最大出力レベルは、18.8dBuなので、2.2dBu分Headroomが不足していて、M30の最大になった時は受けきれていないということになります。

これは余談ですが、実際どこまでの測定ならクリップせずに求められるかというと、それは先ほどのcとdの式を使って計算できるので、試しに計算してみることにします。

SPLを計算する時にはmVかVで計算するのでcの式を用いて、dBuをVに変換し、さらにmVに変換します。

4889.9mVと計算できたのでこれをdの公式に代入すると、137.1dBSPLとなります。なので、137dBまではクリップしてないことになるので信用できるデータになります。

それでは、M30の最大を受けられるインターフェースを探してみましょう。

続いて、FrcusriteのRedNet X2Pを検討してみます。

こちらのMaximum input levelは24dBuになります。

Smaart Headroom = (インターフェースの最大入力dBu) ー (M30の最大出力dBu)より

24dBu – 18.8dBu = 5.2dBu

つまり、5.2dBuのHeadroomがあるので最大の140dB SPLまで入力したとしても歪まないということになります。

実際コンサートで140dB SPLを測定することがないのでここまで必要なのかという疑問がありますが、基本的にはマイクとインターフェースの関係性はMaxまで受けたとしても歪まないような構成にするのが理想です。また、Rational acousticsはコンサートレベルでは少なくとも135dB SPLを測定できれば良いといっているので測定マイクがMax135dB SPLのものを最小SPLとして選ぶのか良いでしょう。

ここまで読んできて理論的には分かったけれども自分で計算するのが面倒という方のために、

下記関数をエクセルにコピペすれば使えるのでお役立てください。

測定マイク出力dBu変換

=20*LOG(((感度*10^((MAXSPL-94)/20))/1000)/0.775)

先ほどの公式のa+bです、赤文字の感度MAXSPLを消してマイクのスペック値を入れてください。

インターフェースでの測定可能SPL

=20*LOG(0.775*1000*10^(dBu/20)/感度)+94

先ほどの公式のc+dです、赤文字の感度dBuを消してマイクのスペック値(mV/Pa)とインターフェースのスペック値(dBu)を入れてください。

まとめ

マイクの最大出力値dBu < インターフェースの最大入力dBuのような組み合わせになるように機材選定をする

〜お問い合わせ〜

    sponsor link
    sponsor link
    記事URLをコピーしました